雪花絞りの板締め作業
雪花絞りの染色前の工程です。
右が5列屏風だたみ4メートル 左が六列屏風だたみ3メートルの晒しを正三角形のパターンにたたんで板で締めたものです。
雪花絞りを染めるためには、折りたたんだ三角形のパターンの形とぴったり合う2枚一組の板が必要です。
布が乾いた状態のまま板で締めて、たこ糸でしっかりと固定します。
布は湿った状態の方が空気ガ抜けて締めやすくなるのですが、雪花絞りは乾いた状態のまま染色するので、このときにしっかり締めておかないと、染料を吸い上げてから糸がゆるんでしまい、洗う時に困ります。
これだけの長尺になると、しっかりと板で締めあげるのに、ちょっとしたコツが有ります。
- 板で締めるまえに、折りたたんだ布が崩れないようにたこ糸で仮留めしておきます。このとき折り山がきれいにそろうように、形を整えます。
- 仮留めした糸を少しづつきつくしていきます。最初はふわふわしてまとめにくかった布に、しっかり折り目がついて、だんだん形が崩れにくくなってくると締めやすくなります。
分厚くたたまれた布が弾力性を失って硬く感じられるくらい強く締めていきます。最初に畳んであった時よりずいぶん小さくなった感じがします。両側に板をあて、たこ糸で締め上げます。仮留めしていた糸を抜きます。
仮留めしたタコ糸は外さず、たたまれた布を板で押すようにしながら、板を片方づつはさみこんでいきます。
この段階で、たたまれた布が弾力性を失ってかなり固く感じられるようになります。
糸が外れないように板のところに三角形に別糸を渡します。ここでもある程度締め加減を調整することができます。
この方法で段階を追って少しづつ締め上げていくと、比較的労力も少なく楽にきつく締め上げることが出来ます。(このような細かい事まで技法書には書いてありませんし、まったくの自己流ですが)
雪花絞りの染色結果はこの板の締め加減も影響してくるとは思う。しかし作業工程から考えると、極端にゆるく締めるということはあり得ない。したがって、染色結果にもっとも大きな影響を及ぼすのは染液の状態の変化だとほぼ確信した。
ハイドロの効力やアルカリ濃度は染めるたびに変化するし、時間の経過も影響してくる。まったく同じパターンで染めてもなかなか安定して同じように染まらない雪花絞りの難しさは、ここにあるに違いない。