長尺の雪花絞り
雪花絞りは、染料を浸透させた後、クランプで水気を絞ってから板をはずして水洗いをすると、模様がにじまず安心して布を拡げることが出来た。
そこで、今回は手ぬぐい用の晒ではなく、浴衣の晒生地で、長尺の雪花絞りを染めてみることにした。
浴衣の生地は手ぬぐい用の晒より少し幅が広く、細番手の糸で織られている。
手ぬぐい用の晒はぼってりと厚みがあり、ふかふかしていて折りたたむと少しがさばるが、浴衣用の晒は、もっと感触がさらさらしていて、どちらかというとこちらの方が畳みやすい。
現在雪花絞り用の染料液を入れるのに使っている容器は、280mm×135mm×95mm。
この容器で4列屏風だたみなら1反、6列屏風だたみなら2分の1反、5列屏風だたみなら3分の2反染めることが出来る。
ロート油は使っても使わなくてもほとんど効果があるとは思えなかったので、今回は強力浸透剤ネオコールSWを少量染液に追加した。
前回の実験で、板締めした布を染液に浸す前に少量の苛性ソーダとハイドロの溶液を吸い込ませると浸透が良くなることが解かった。
この溶液にもネオコールSWを少量加えてみた。
この浸透剤もかなり効果があるようだ。染液は緑色になって吸い上げられていった。
染液を吸い上げて重くなった布を洗い、余分な染料が自然に落ちていくのを待つ。
1時間以上待ってから、クランプで板締めの布にさらに圧をかけ、少しずつ水分と空気を絞って抜いていく。
ここでクランプを使わないでタオルで水分だけを拭き取ってしまうと、空気が入ってしまい汚い発色むらの原因になる。以前タオルで水分だけを拭き取ってしまい、大失敗したことがある。
クランプで精いっぱい絞ってからタコ糸をほどいて板を外す。この段階でも中はまだ完全には酸化していない。ここでも空気酸化してしまうと発色むらになりやすいので、素早く水洗いしながら布を拡げる。完全に酸化するまでは気が抜けない。
冒頭の雪花絞りは6列屏風だたみ、この染まり方だとこちらの小柄の方がきれいだ。大柄の4列屏風だたみの方はもっと藍の濃淡の幅が広がる様にしたい。単調な感じになってしまった。
いまだになかなか自己満足な雪花絞りが染められないが、クランプを使うようになってから、染料がにじんで模様がつぶれてしまうという失敗はなくなった。
最近は模様がくっきり染まりすぎて、最初のころの染めのような柔らかさが失われてしまったような気がする。
染液の調整についてはまだ研究の余地がありそうだが、染液に浸す前の少量の水、これに加える浸透剤や苛性ソーダなど、こちらの調整の方がむしろ染色結果に大きな影響を及ぼすようだった。
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