再び廃屋での展示会
4月前半2週間は廃屋となった空き店舗で展示会をしました。このスペースは昨年の11月で終了することになっていたのですが、ふたたび利用させていただくことができました。
ここは、桜の名所ということもあり、1年でもっとも集客が見こめる時期なので、栃木で農業をしながら染織をしている友人の出展をお願いしました.。
糸からこだわって作っている草木染めのストールは本当にせみのはねのように薄くて繊細で、それでいて強靭さもありとてもきれいでした。里山で採取した、鮮度の高い生の草木で染めた糸は、染色材料店で購入した乾いた植物で染めた色よりやわらかさがあるように感じました。
今回はディスプレイを手伝ってもらうことが出来たので、いつもより2時間位早く展示できました。最初は室内のあまりの汚さに驚いたようでしたが。
この廃屋にはいろいろな思い出があります。はじめて借りたのはおととしの秋でした。もと大衆的な飲食店だったところなので、油汚れがひどく、厨房にはゴキブリの卵などもこびりついていて、初日には作品を持ち込めず、掃除と内装に3日かかりました。
私が一番乗りではなっかたので、窓ガラスなどは拭いた形跡があり、ある程度はましになっていたのではないかと思いますが、それでもかなり過酷でした。
シャッターを半開きにして、ぞうきんがけなどしていると、中を覗きこんで「改装しているの?」 「つぎは何屋さんなの?」と興味津々で声をかけてくる人たちがいました。ビジネス街なのに下町のような雰囲気も残っていて暖かい感じがしました。
このへんは、趣味の工芸品を扱っているお店や古い個人店も点在していて、近くに美術館もあり、クラフト作品を展示販売するにはとても立地条件が良いのではないかと思って選んだ場所です。建物の内部の汚れのひどさには少々勇気がいりましたが、環境は良いので、この空間をどれだけ変身させることができるか楽しみでもありました。
手前がカウンター、奥に厨房の壁面のタイルが見えています。ガスは止められていますが、電気と水道がふんだんに使えるのは有りがたい。もちろん冷暖房は有りません。
厨房の中はあまりに油汚れがすごいのでカウンターから手前を展示スペースとして利用しました。
このスペースを2度目に下見に来た時、ベニヤ板で壁面をすべて隠し紺色の生地で内装している和食器の業者さんが出店中でした。なかなか上手に空間を化けさせているなと思い感心しましたが、厨房のスペースは全く使わずカウンターの背後をすべてベニヤでふさいでしまっているので、圧迫感があり実際より狭く感じました。
私ならどうしたら良いだろう?そこでひらめいたのが永いこと押し入れに眠っていた寒冷紗です。カウンターの背後を寒冷紗で覆ってしまえば厨房のタイルを隠すことができる。そして厨房の方からも寒冷紗を通して照明をあててみよう。
カウンターの上にある換気扇のカバーの下も展示スペースとして利用しました。油汚れのひどい棚や壁面などは新聞紙でとりあえず覆いましたが、これはけっこう時間のかかるめんどうな作業でした。
これは昨年の7月の展示です。夏は電球の色に寒色系を多く使ってみたりしました。
下の写真は厨房の入り口の洗面台のある所ですが洗面台をすのこや板で隠し、鏡に枠をつけて姿見に変身させたつもりです。右ははおととしの秋の最初のデイスプレイで、まだ油臭かったころです。近所の商店街の人が、「こんな汚い所をよく1人できれいにしたね」と言ってゴミを捨てるのを手伝ってくれたりしたので助かりました。
これは去年の3月のディスプレイで、黄色をメインカラーにして明るさをだそうとしました。
デパートの催事に出店し始めてから、自由もなくすっかり諦めてしまっていましたが、この廃屋では思う存分デイスプレイの実験が出来て、久々にインスタレーションにはまっていた学生時代を思い出し、楽しく過ごす事が出来ました。
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