藍植物で染める紫色 インジルビンとは?
久々に染色材料店に行ってみると、紫色に染めたシルクストールの染色見本が目にとまりました。
インド藍の干し葉で染める紫とあります。袋詰めになった乾いた葉は、ほんのりと紫色で魅力的でした。新商品だろうか?たぶん今まで店頭で見たことは無かったと思う。
天然染料で紫に染められるものは限られているし、高価で稀少なものが多い。
インド藍でむらさきが染められるとは どこかで聞いたことは有るような気がするけれど、どうしたらよいのかわからなかった。 おもわず購入し、 はじめてなのでマニュアルをつけていただきました。
マニュアルには、インド藍に含まれているインジルビンという色素で染めるとあります。
インジルビンをグーグルで検索してみると
日本の蓼藍の生葉から、紫を染める方法について 解りやすく解説している
武庫川女子大学牛田智研究室のサイトを見つけました。.通常の建て染めや生葉染めについても解説しています
自分で理解出来るように要点をまとめます。
藍植物の中にはインジゴの前駆体であるインジカン(無色)が含まれている。葉の組織が破壊されるとなかに含まれている酵素により分解して、インドキシル(無色)になる。インドキシルの2分子が酸化的に結合するとインジゴ(青)になる。
インジルビン(赤)は、インジゴの異性体で、分子式は全く同じだが原子のつながり方が異なる分子のことである。
インドキシルが単分子的に酸化されてイサチンが出来ると、未酸化のインドキシルと結合してインジルビンができる。
紫色は、このインジゴとインジルビンが混ざった色で単一の紫の色素ではない。赤味の紫になるか青味の紫になるかは、インドキシルから、二方向の酸化のどちらが起こりやすいかによって決まる。
インドキシルからインジルビンを多く生成させる条件は、ph10~12のアルカリ性条件や,高温が好ましい。
牛田智 「生葉染色の化学的な観察とその実際方法 藍の生葉染めによる絹の紫染め」 染色@No225,p64~67(1999)
牛田智 谷上由香 「藍の生葉染めにおける絹の赤紫染色の条件」 日本家政学会誌 49巻9号P1033~P1036(1998)
蓼藍ならば我家にもある。
自然に生えている状態では、染料の色素になるインジゴがまだ生成されていないので、藍の葉は葉緑素の緑色をしている。枯れると茶色ではなく、くすんだ紺色っぽい色になるのは、葉に含まれていた無色のインジカンが分解して酸化され、インジゴになっているからだと理解できた。
しかし蓼藍の乾燥葉では、すでにインジカンがインジゴの色素になってしまっているので、インジルビンは生成されないということになる。蓼藍で紫を染めるには生の葉が必要なので,夏しか染められない。
蓼藍から紫を染めるには、生葉のほか、冷凍した葉でそめる方法について説明しているサイトも有りました。夏になったら試してみたいと思います。
ところでインド藍の葉は枯れるとインジルビンを多く含むものがあるそうです。染色材料店で購入したインド藍の干し葉は,紫色に枯れています。
インド藍の干し葉の染色結果は次回のブログで