有松絞りをたずねて 名古屋市博物館
雪花絞り文様着物 (名古屋市博物館) 昭和初期
はじめて見た時から、心を引かれた雪花絞りの浴衣です。.私はこの浴衣をお手本にして雪花絞りを試みてきました。
何年か前に、この浴衣を藍染めの展示会で見た時から忘れられなかったのですが、有松絞りの図録から、名古屋市博物館の収蔵品とわかり、もう一度見たくて、博物館に問合せてみました。
そして先日(12月3日)この浴衣を閲覧させていただくことができました。間近で手に取って見る浴衣は、展示会で漠然と全体を見たときより、身近に感じもしたし、あらも見えたのです。
藍の濃淡が美しく、文様がくっきりと出ていて、毛細管現象で吸い上げられていく水と染料の勢いが感じられるような心地よい緊張感。以前に見たときの印象と変わりませんでした。特に、花びらの輪郭の様に見える地色の白い線が、にじむことなくとてもシャープに染めあがっているのが、はじめて見たときから不思議で魅力的でした。
ただ以前には気がつかなかったこともたくさん見えてきました。
生地はおもったよりかなり織り目があらく、現在の浴衣や晒しの手ぬぐいの生地とはだいぶ感じが違いました。織り目が粗いと空気が入りやすく、早く酸化するので、雪花の模様がくっきり出やすいかも知れないと考えたりしました。
自分で雪花絞りの実験をするようになってからは、どんな染料を使って染めていたかということも気になります。この浴衣の色は私はインディゴピュアで染められているのではないかと思いましたが、見ただけではわかりません。当時の木綿の絞り染めには主にどんな染料が使われていたのだろうか?化学染料を単独で使ったときの色の生っぽさも感じ、色味としては少し物足りない感じもしました。